代表者プロフィール

1981年東京生まれ。立命館大学政策科学部卒業(コミュニティ論、メディア論)。環境問題から人の活動に影響を与える貨幣とメディアに興味を持ち、JCB、博報堂のインターンに参加。当時更新していた書評ブログをきっかけに雑誌の連載コラムを始めたことから個人メディアの可能性に気づく。

新卒でJCBの開発部門に入社後、フリーランスライターになる。神保町の古書店取材、パルコのウェブマガジン「ACROSS」の取材、企業インタビューを行う。博報堂とブログメディアを立ち上げる仕事をきっかけに、博報堂DYインターソリューションズに入社。プランナーとして大手企業のブログやソーシャルメディアを活用した企画を行う。

その後、思い入れのあった本の仕事をするため、出版コンサルティング会社に転職。ビジネス・実用書の出版プロデュースに30冊以上、10万部以上のベストセラーに複数関わる。在籍3年半の内、1年間は取締役を勤める。

現在は広告と出版の企画、個人メディアから出版までをフォローするコンテンツ・プロデュースを行う。


講演・掲載実績
自由大学「脱藩学」企画・運営

社会人スクール、自由大学の連続講義「脱藩学」企画、実施。社会の常識にとらわれない生き方を自ら考え、計画し、行動するためのサポートを行う。(2012/7~)

自由大学「セルフメディア学」講師

「ソーシャルメディアを使いこなす」のテーマで、ウェブの歴史からソーシャルメディアの考え方、使い方を紹介。(2011/11、2012/2、2012/5)

神奈川県立厚木東高等学校 講演

進路を考える高校生に向けて「職業人講話」のテーマで出版の仕事と関わりかたについて紹介。(2011/12、2012/12)

嘉悦大学 ゲスト講義

「メディアビジネス」の授業の中で、大学生向けに本の読みかたと出版業界について紹介。(2009/12、2010/11)

AERA BUSINESS

本関係のiPhoneアプリと使い方を紹介。(2010/3/25号)

International Herald Tribune

Old Marxist novel revived by Japan's economic anxiety Wednesday, August 13, 2008『蟹工船』が若い世代に売れた理由と背景についてコメントしました。(現ニューヨーク・タイムズ)(2008/8)

サービス案内

あなたの持ちネタを資産化し、
次のステージへ導くコンテンツプロデュース

コンテンツ・プロデュースは、出版からソーシャルメディアまで、依頼者のコンテンツ戦略をつくり、実施します。出版はリサーチや読者ヒアリング、企画提案から執筆、書籍発売後のフォローまでサポートします。さらに今まであまり考えられることがなかったコンテンツの収益化、コミュニティ化についてもアドバイスいたします。依頼者のコンテンツ化、収益化、コミュニティ化を多方面で支援します。


サービスの流れ
1. 方針と方向性の設計

方向性についてヒアリングの上、発信テーマを検討します。その後、読者と内容に合わせた掲載メディア(出版をはじめとしたマスメディアからソーシャルメディアまで)の展開プランをつくります。

2. 情報収集と企画の作り込み

展開プランを元に情報収集を行います。
・テーマのリサーチ(研究調査、過去のニュースや統計データなど)
・対象読者へのヒアリング
・テーマ領域の現場視察(フィールドワーク)
・関連テーマ書籍の研究 など
各プロセスを通じて企画をつくります。テーマに応じて企画書の作成から(必要に応じて)ブログやTwitterなどのソーシャルメディアを始めていただきます。

3. 出版社・各メディアへの提案

作成した企画書やソーシャルメディアを元に、出版社の編集者(雑誌、書籍)に提案します。先方が興味をもった場合は、打ち合わせに進みます。企画を元に編集者が社内の承認を得た上で出版が決定します。

4. (出版決定後の)
執筆・出版進行サポート

出版決定後は、編集者の指示の元にすすめていただきます。必要に応じて原稿アドバイスをはじめとした相談を承ります。
その他、
・出版社と出版前、出版後の書籍販促の提案
・雑誌・ウェブ・テレビなどのメディア展開
・講演、対談イベントなどの企画
を出版社と検討の上、実施します。

5. コンテンツの収益化支援
コミュニティづくりの支援

出版以外のコンテンツの展開方法を検討します。有料化サービス(有料メールマガジン等)の提案と発信先メディア、ツールを選定します。その他、私塾やサロンなど、会員制のサービスづくりについてもアドバイスいたします。

※扱うテーマによってプロセスは異なります。4、5については、1~3の進行と反応に合わせて検討します。

私たちの強み

豊富な実績と多岐にわたる経験。
守備範囲の広さと深さが支持されています。

私たちは出版を軸に書き手のコンテンツ化をサポートします。広告業界の知見、執筆や企画の指導を含めた出版プロデュースの実績を元に、コンテンツ化を実施します。

1. 出版業界の人的つながり

各出版社の編集者から書店員、取次(本の問屋)、メディア関係者まで実績のある人的なつながりがあります。たとえば出版企画の提案先は、出版社の方針に加えて編集者の実績や得意分野を把握した上で選定することで、求められる本づくりの可能性を広めます。

2. IT、広告業界に対する知見と人的つながり

出版以外に金融、IT、広告の仕事経験から各業界の知見とつながりがあります。同じ業界にいた立場から一般読者に伝えるべき内容を検討、提案します。現在のクライアントは以下の3つの分野が中心です。

(1) 大手企業の個人
戦略系コンサルティングファーム、大手総合広告代理店(マーケティング、コピーライター、研究開発)、大手家電メーカー(マーケティング)、外資系ウェブサービス企業、ベンチャーキャピタル

(2) 専門職、士業、フリーランス
会計事務所の公認会計士、ジャーナリスト、ライター、20~30代の起業家

(3) 新しいライフスタイルを実践している人
環境系NPOの代表、地域再生、文化発信を専門にしているウェブデザイナー

3. 出版プロデュース経験

前職の出版コンサルティング会社では、ビジネス、実用書を中心に30冊以上に関わりました。現在、出版予定の書籍は5冊、オンラインメディアの連載は4本決まっています。

4. 紙の書籍とソーシャルメディアの活用アドバイス

本やコンテンツが、より多くの読者に伝わるツールやチャネルの選択肢を提案します。たとえば、新しい分野で需要がわからないため、書籍化されづらいテーマは、雑誌やオンラインメディアの連載を通じて、読者の反応をみながら企画づくりを進めます。また、話すことに慣れている方は講演会や対談機会をつくることで、どのような読者やテーマに可能性があるかを探ります。このような取り組みを通じて、オフラインとオンラインでの「読者づくり」から考えます。

5. ティーチングの実績

個人のブログをはじめとしたメディア活用、コンテンツづくりのアドバイスを300名以上、行ってきました。最近はブログから執筆の依頼やメディアの取材が来るケースも少なくありません。また、テレビや雑誌などのメディアは、コンテンツだけではなく書き手の経歴にも注目します。書籍の企画や内容だけではなく、会社や自らをどのように伝えるべきかをアドバイスします。

よくあるご質問

Q:出版までどのくらいかかりますか?

A:約1年間です。出版社や編集者のスケジュールに合わせて進めます。旬なテーマでない限り、企画から出版までは約1年が目安になります。ただし、書きためた原稿がある場合はこの限りではありません。

私たちはすぐに出版することを目的にしていません。すぐに伝えたいコンテンツがある場合は、別の方法を提案します。本という形で書き手と編集者、ひいては読者が納得できるものをつくるために、最善をつくしたいと考えています。

Q:出版の形式は?

A:商業出版のみになります。出版社が制作費や広告費を負担する商業出版に対して、出版社と書き手が費用を折半する自費出版(協力出版・共同出版)は行いません。

Q:原稿は自分で書くのですか?

A:基本的にご本人に書いていただきます。ビジネス・実用書の出版はライターに依頼して出版することも少なくありませんが、基本的に想定していません。理由としては、今はブログやTwitter、Facebookをはじめ、執筆以外に日頃から自分で書くことが求められるからです。メッセージや言葉に一貫性を保つためにも、自分の言葉で書くことが出版以外も含めたコンテンツをつくる一歩です。

Q:本を書く上で実績や成果は必要ですか?

A:書く目的と内容次第です。「こういうことをやりました」という実績だけにこだわっていては出版には至りません。実績や成果の上で、読者に伝わる中身かを検証します。また、実績がないと思っているだけで「じつはある」ことも少なくありません。本人が気づかない実績を見つけることも私たちの仕事です。

Q:書くテーマが見つからないのですが

A:テーマありきで考える必要はありません。テーマよりも編集者や読者が何を求めているかを知り、何を書けるかを考えることが大切です。また、依頼されたテーマをそのまま出版社に提案することはまれです。テーマよりも今までにない切り口や見せ方が重要になるからです。コンテンツ・プロデュースは新しい切り口を見つけることから始めます。

Q:出版の準備以外にやることはありますか?

A:書き手の目的と立場に合わせて提案しています。基本的にはソーシャルメディアでの発信(撮ること、書くこと)、取材によるインタビューや講演会で話すことが求められます。こちらの進め方も都度アドバイスさせていただきます。

Q:どのようなジャンルを扱えますか?

A:海外文学の翻訳から実用書まで取り扱っています。ただしジャンルやテーマよりも書き手の目指す方向や目的が大切です。テーマより書き手の目的がコンテンツ・プロデュースに合うかを、見させていただきます。

Q:コンテンツを有料化したいのですが

A:相談を受けます。出版に限らず、コンテンツの発信方法が多様になる中で、どのような手順で考えるかをアドバイスします。

Q:過去に著書があるが依頼したい

A:問題ありません。過去の出版経験があると手順がわかっているので改善しやすいです。過去の延長ではなく、目指す方向に合う企画を提案させていただきます。

Q:文章を書くことが苦手なのですが

A:自ら書く意志があることが前提ですが、一定のトレーニング期間を設けます。具体的には読んでいただきたい本のリストや文章添削を行います。また、文章に限らず、自らの言葉をつくることは、すべてのコンテンツづくりの基礎になるので、都度メニューを用意いたします。文章の技術より「伝えたいおもい」が求められます。技術的なことは、はじめから気負う必要はありません。

Q:会社が出版を許可してくれません

A:社名を伏せてペンネームでの執筆も可能です。ただしこれからの書き手は、社名や実名を出すことが会社にとってもプラスになると考えています。まずは書き手と会社にプラスになる内容を検討させていただきます。

コラム

電子書籍以前の情報の価値について

電子書籍の相談や質問を受ける機会があります。そのつど聞くことは「何のために?」です。読者を増やしたいのであれば、まずはブログをすすめます。コンテンツで収益化を目指すのであれば、パブーや有料メールマガジンを始める方法もあります。

文章を読むことが目的であれば、閲覧手段はメールでかまいません。有料メルマガの配信サービス「夜間飛行」の宣伝コピーは「受信箱に、本が届く」です。メールは電子書籍であるという表明です。

iPhoneの画面で読む度に閲覧アプリを起動するよりも、メールチェックの合間に読める方が楽だと考える人は少なくありません。ここから電子書籍よりも有料メールマガジンの方が、本来の電子書籍の役割を果たしているとも言えます。

しかし、情報の値段や閲覧手段に限らず、そもそも読者がいない場合も多く見られます。その場合、読者を探すところから始める必要があります。出版においての読者は、本を買う人(購入者)です。しかし、ウェブがコンテンツの流通コストをゼロに近づけた今は、「読んでくれる人すべて」が読者です。多くの情報が無料で読める今、コンテンツの「読者」と「読む機会」をつくる、増やすアイデアなしには、出版も電子書籍もありえません。

「ある情報を求める人が、いったいどの場所に存在しているのか。そこにどうやって情報を放り込むのか。そして、その情報にどうやって感銘を受けてもらうのか。この三つは、言ってみれば情報の流れを究極の課題です」

『キュレーションの時代』(佐々木俊尚)

「(どこの)だれに、なにを、どうやって?」を、まず考えることが求められます。

では、どのような内容の情報が読まれて、最終的に購入してもらえるのでしょうか? 購入してもらえる情報は、以下の2つがあると考えます。

1. iROI(情報の有用性と自分との関係)

ROI(Return On Investment)は、投入した資本が生みだす利益の指標です。ここに「情報(information)」と「私」の「i」を加えました。iROIは情報の費用対効果があり、自分に直接関係がある情報です。つながりや縁も「i」です。

たとえば会社経営をしている知人は、月額4000円の新聞より、月額840円の有料メルマガの方が有益だと言います。この有料メルマガは、日々のニュースをベンチャー企業にとってのファイナンスの観点からどういった意味があるのかを紹介しています。ベンチャー企業の社長にとってこれほど有益な情報はありません。ターゲットは「多くの人」ではありませんが、有料でも知りたい(=iROIが高い)テーマです。

有料メルマガは著名人を中心に広がり始めています。知名度(マスメディアの露出度)がなくても、書籍や日々のブログの更新を通じてメールマガジンに至るケースも少なくありません。先ほどの知人がメルマガを購読したきっかけも書籍からです。

iROIの高い情報を出せる人は、たとえば以下のような方です。
・現場があり、1次情報や関係者に直接アクセスできる
・ニュース(事実情報)について「有益な独自の知見」をもつ
・先駆者(まだだれもやったことがないことを実践している人)

まとめると専門分野があって、有用性と仕事に直接役立つ情報を提供できる人です。こういった人にとっては今後も有料メルマガは有効な媒体です。また有料メディアで発信する際、自身の考えを体系的に理解してもらう媒体として、書籍は有効です。

2. 潜在的ファンクラブ(親近感と信用のベース)

潜在的ファンクラブは、書き手にとってのファンコミュニティです。今はTwitterやブログを日頃から読む人が、書籍化を機に本を買うケースは少なくありません。この場合、著者は書籍化以前から、長い時間をかけて未来の読者をつくっていたことになります。

読者は一定期間の関わりから著者への親近感があるので、iROIのようなコンテンツの質だけではなく「その人なら」という基準で買います。また、すでにブログやメルマガで出ている情報が本になったとしても買います。これは書き手のファンだからです。アーティストのファンクラブで有用性がわからないグッズを買うことに近いです。

ファンのベースがある人は収益化が可能になります。ただしツールとチャネルによって購買率は異なります。(たとえばTwitterから有料メルマガを始めた場合の購読率は約1%と言われています)

潜在的ファンクラブはつきあう時間の長さと頻度によります。大事なことは関係を絶たないこと、更新頻度が下がっても続けることです。有名アーティストをインディーズの頃から知っていることが、ファンのレベルを測る基準になっています。

まずはこの2点を見直して、持っている情報の価値を考えてみてください。情報の価値については、潜在的な可能性も含めて当方でコメント、必要に応じてリサーチします。


「組織の個人」に可能性がある時代

組織の当事者が発信する

これから書き手として可能性があるのは「組織の個人」です。今、大きな組織は、市場の変化に対応するだけではなく、考え方や価値観を見直し、変わることが求められます。「そもそも何をすべきか」が見えない時代です。つい最近まで雑誌で絶賛されていた企業が、業績不振を理由にネガティブな記事になることは少なくありません。しかし、評価は変わっても中で働く人は変わりません。組織の当事者の考えを社内外に伝え、問う機会が求められています。

20~30代が求められる

従来の組織の書き手は
・経営者
・ヒットケースをつくったマーケティング、企画担当者
・研究開発(R&D)部門の担当者
が中心でした。これらの立場の人は引き続き、コンセプトやビジョンを掲げることが求められます。

しかし、これから新しく著者となる可能性があるのは「組織の中の20~30代」です。理由として、以下の3つが挙げられます。

1. 当事者としての言葉を持つ

業界や会社を主語にすると一般論や抽象論になりがちです。まずは、実際に現場で働く人の固有名を主語に、具体的な言葉を伝えること。そうすることで、内容だけではなく本人の「熱」が伝わります。

2. 時間軸のコミットメント

提案した仮説は時間をかけて検証されます。ソーシャルメディアもありますが、多くの場合は仕事というアウトプットで検証されます。言いっ放しにならない覚悟が、読み手への勇気と共感につながります。

3. 20~30代が近い世代にモデルを求める

組織にいる20~30代は、時代が違うので上司をロールモデルにしづらいと感じています。組織に限りませんが世代ごとに異なる価値観が生む軋轢は、より大きくなっています。だからこそ他業界も含め、近い世代の人が何を考え、目指しているのかを知る機会が求められます。

発信する中で気づく

新しい提案が社内ですぐに形にならないように、新しい考えをすぐに出版できるとは限りません。そこで最近では、個人ブログやポータルサイト、出版社のウェブや雑誌連載から書籍化するケースが増えています。

まだ気づかれていない価値を、日々の仕事と継続的な発信から掘り起こす。このプロセスが、読者との関わりを拡げるだけではなく、本業にも役立つ学びがあると考えます。

大手メーカーに勤める30代前半の男性の例

たとえば、私たちのクライアントに大手メーカーに勤める30代前半の男性がいます。彼は雑誌や書籍での自社批判に悔しさを感じ、社内で変化を起こすには、外部の刺激が必要だと考えました。

そこで、新しいビジネスの問題解決手法を学ぶために、社外で多くの人と交流し、文献にあたりました。その後、学んだことを自主的にワークショップで社内に広めた結果、上司に評価され、組織全体で取り組み始めています。このプロセスを3年かけて取り組みました。本人は、まだ一歩目にすぎないと言いますが、少しずつ変わる組織をみて実感があるそうです。

彼は現在、あるオンラインメディアで書籍化を前提に連載を準備中です。大きな組織でも個人の可能性を感じられます。このような志のある個人の社外への発信が新しい流れになると考えています。

組織と個人のスタンスのあいだで

書籍は著者という固有名があるメディアです。社名だけではなく、個人のスタンスも問われます。その上で、会社の立場と個人の意志のギャップがあることも事実です。しかし、立場を踏まえながらもどちらかに偏ることなく、自らの体験から、これから組織に関わる人に伝えられることを考えていただきたいと思います。別の観点からは、組織にとってもあたらしい広報・PRの形として、個人が発信し、書籍化する可能性を検討いただければ幸いです。


専門職(プロフェッショナル職)のコンテンツ戦略

公認会計士や弁護士、広告会社のクリエイティブ職など、個人名で専門の仕事をしている方の相談が増えています。理由として、領域を横断する仕事が増え、資格や肩書きを越えた役割を求められることが挙げられます。このような中で、専門の知識と技術が、仕事を依頼する人や読者にどのような意味があるかを示す必要があります。

たとえば、ある会計士の方は「全国に2万人いる会計士の中で何が違うのかを書籍づくりで考えさせられた」と言います。では今後、専門職と言われる士業やプロフェッショナル職は、どのようなコンテンツが求められるのでしょうか。

3つ、提案します。

1. 専門と表現手段の軸をつくる

私たちは専門職の方には、自身の立ち位置を決めるために専門テーマと表現手段の軸をつくることをすすめています。

・専門テーマ
多くの人が関わる分野の場合、その中での個人的な探求テーマや問いを明確にする必要があります。たとえば「ベンチャー企業につよい公認会計士」と決めると、他の会計士と別の立ち位置で仕事やメディアの発信ができます。

・表現手段
表現は「話す」と「書く」が中心になります。また、文章・数字、音声、画像、映像など、専門テーマに合った見せ方と、得意な表現手段を身につけることがポイントです。

まとめると「○○(専門)で□□(表現)する」と定義できると、目指す方向と軸が見えてきます。

2. ティーチング・メディアをつくる

1の表現チャネルの「話す」には、教えることも含まれます。とくに出版では、同業者の後進を育てるだけではなく、別の業種やその分野の知識がない読者に向けても「何を伝えられるか」が問われます。

最近では講演会やセミナー場から、小規模で長く関わる私塾やサロンが増え始めています。また、インターネットではTwitterやブログから有料のメールマガジンというクローズドの場が増えています。とくに有料メールマガジンの場合、読者からの様々な質問や相談にメールマガジン上で応える「Q&Aがコンテンツ」が魅力となっています。

このような私塾やサロン、有料メールマガジンのQ&Aコンテンツのように、双方向性のある生成的なコンテンツをつくる場を「ティーチングメディア」と呼んでいます。

3. 生き様をコンテンツ化する

3つめは、新しい生き方や生き様のコンテンツ化です。読者があるテーマの本について、複数の選択肢から選ぶとき、書き手の「人」を判断基準にしています。またTwitterやFacebook、ブログなど、仕事以外の書き手の日常がコンテンツ化される今、生活、ひいては生き様も見られます。

もちろん、これらを無理に出す必要はありませんが、コンテンツには生活感というコンテクストが求められるのも事実です。また、ウェブでの読み手の距離感を踏まえた言葉づかいや最低限の作法は知る必要があります。

生き様のコンテンツ化は、主に3つの要素があると考えています。

・体験(五感、身体をつかって得た一次情報)
・関係(仲間や新たな出会い、日頃のつきあい)
・場所(遊びや仕事のアイデアを生める複数の場)

これらを一次情報をとして発信できることも今後の専門職にとって大切な点です。一度、この3点を整理した上でどのようなコンテンツの可能性があるかを考えてみてください。

顧客事例

松村太郎氏

松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、BBT大学講師。モバイル時代のライフスタイル、ワークスタイルを追求するほか、キャスタリアでソーシャルラーニングとデジタルアイデンティティについての研究とビジネス化をすすめる。著書に『タブレット革命』(アスキー・メディアワークス)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、『本田直之式ハッピー・ワークスタイル』( 毎日コミュニケーションズ、共著)、『Facebook HACKS!』(日経BP社 、共著)、『LinkedInスタートブック』(日経BP社)、『「ソーシャルラーニング」入門 』(日経BP社、共訳)。

すでに著作が三作(共著を除く)ある中で依頼した理由は?

出版のプロセスを見直したかったんです。今までは、編集者と目次を決めたら、一人で閉じこもって黙々と原稿を書いていました。一人で書き進める不安もあったので、企画も執筆も新しい視点を入れたいと思ったんです。今回は今までと違う本づくりを経験しています。

具体的に今までとの違いや良かった点は?

三つあります。

一つはディスカッションパートナーになれること。
執筆中に原稿の読み合わせをしながら内容についてのディスカッションができる。類書のリサーチや関連テーマの情報共有もしながら進められるので、執筆の後押しになって、助かりますね。

二つめは言葉のヒントが多いこと。
専門用語の言い替えや、コンセプトづくり、ネーミングに加えて、言葉を使う文脈を増やしてもらえるのはありがたいですね。辞書を引かなくても意味は知っているけれど、どんな文脈で使うとわかりやすくなるか。これは一人で考えると限界があるので。

三つめは同世代でメディア体験が近いこと。
知識の背景にある体験が共有されているからこそ、内容を深められます。その上で、世代が異なる人や知らない人にわかりやすい伝え方を考えられます。

そういった意味では今回の書籍は進めやすかったですか?

いえ、むしろ時間はかかっています(笑。テーマだけではなく、「自分のこと」を書くことが初めてだったので。悩んだり考えたりしています。世の中の事象を整理、分析することには慣れているのですが、自分のことだと日々の体験で考えが変わっていくので、文章化が大変です。何度か書き直してやっと着地点が見えてきました。

自分のことを入れると書き方も変わりますか?

今までの執筆は大学の授業のイメージでした。1対100くらいで世の中の事象を説明する。それが今は1対2~3くらいに絞られてきました。コーヒーを飲みながらカフェで語るような距離感です。

読者との距離感は大事ですね。壇上を降りて生徒の前で同じ目線で話す感じですね。また、読み手を絞ることで「松村さん」が見える文章になりますよね。

今、ウェブでコンテンツにお金を払う世界ができつつありますが、私にとっての出版は、まず自分よりも年下の世代に伝える機会になればと思っています。だからこそ、本を書く、売ること以外にもやるべきことがあると思っていました。

たとえば、読者と直接関わること。それが出版と別にコンテンツプロデュースとして提案してもらった書き方教室(「フリーダムライターズプロジェクト(FWP)」)ですよね。ゼミのような小さなコミュニティが、今後は意味をもってくると思います。

FWPは書く技術の前に「書くことを楽しむこと」をコンセプトにしています。書く楽しみの延長に技術があった松村さんの体験をベースに企画しました。

提案をもらったときにスクールというやり方があるのかと思いました。もともと書く技術は「僕だけの特別なものではない」と思っていました。どう伝えるといいか、を考えていたら「そうか、直接教えたらいいんだ」と。フィードバックで「自分たちのためだけに書き下ろした文章が読めるのが嬉しい」という意見が来たり、参加者の文章が変わって行くのは教えていて嬉しいですね。

コンテンツの有料化についてはどう考えていますか?

個人が記事を直接売るかたちは普及していくと思います。ただ、最初から数万人、数千に届くようなメディアをつくるのは難しいですよね。だから、とくに30代の人がマスメディアとパーソナルメディアをどう往き来するかが、ポイントになります。どちらかではなく、どちらも知っておくべき。だからブログも有料メルマガも雑誌の連載記事も書籍も、どれかではなくどれも、で考える。

ただ、これらのメディアをつないで全体設計できる人があまりいないのも事実です。コンテンツプロデュースの仕事としては、コミュニティのベースづくりから出版後までを見すえた全体設計を期待したいですね。

発信の有無に関わらず、仕事や活動の中で「コミュニティとコンテンツ」をもっている人は、じつはたくさんいます。その人たちの可能性をどのようなコンテンツとメディアで、設計するかを考えたいと思います。

コミュニティとコンテンツを僕は「エコシステム」と呼んでいます。メディアが個人化したこれからの時代に面白くなるのは、エコシステム同士のつながりですよね。

まず、コミュニティやパーソナル・ソーシャルのメディアのエコシステムをつくって育てる。ただ、これらはサイズが小さいので、伝えられる人数には限りがある。だから、他と組み合わせる。エコシステムを持っている人同士が組むことで、またあたらしいエコシステムができる。この方が変化に対応できるし、新陳代謝も起こる。その結果、エコシステムも参加も成長する。これからメディアはパーソナル、ソーシャル、マスと区切るものではなく、ゆるやかにつながって、動的に変化していくのだと思います。

ありがとうございました。

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